『リンフォン』は、2006年ごろに巨大掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」のオカルト板に立てられたスレッド、「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」に投稿されたエピソードである。 スレッドは、通称「洒落怖(しゃれこわ)」と呼ばれていて、『きさらぎ駅』『コトリバコ』『くねくね』『八尺様(はっしゃくさま)』などの恐怖投稿が多く寄せられていた。 ホラーに興味がある方ならば、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。 ある日、投稿者は恋人と一緒にリサイクルショップをまわることに。 何軒かのお店をめぐり、掘り出しものを購入することができて、気分よく車でドライブをしていた。 そんなとき、1軒のさびれた骨董品屋が目に止まったという。 さっそく、恋人とともに店内に入ると、コンビニ程度の広さの店には、古本が多く並べられていた。 古着や家具などを取り扱っている様子はあまりなく、「もう出ようか」と投稿者が恋人に声をかけようとしたそのときだった。 恋人「あっ!」 投稿者が近寄ると、ぬいぐるみや置物がつめこまれたカゴの前に、恋人が立っていた。 投稿者「なんか掘り出しものでもあったの?」 恋人「これ、すごいよ」 そういうと、恋人はカゴの奥底に押しこまれるように入っていた「正二十面体の置物」を手に取った。 カゴには売り物がつめこまれていて、外からは見えないはずなのに。 正二十面体の置物は、どうして恋人には見えたのだろうか……。 不思議なできごとは、ここから始まっていたのかもしれない。 と店主のおじいさんに声をかける。 おじいさんは、正二十面体の置物を目にすると、まさに「驚愕」という言葉でしか表現できない顔をしていたという。 すぐさま普通の表情になり「値段を調べる」と、奥の部屋へと入っていく。 奥からは、誰かと言い争っているような声が聞こえたが、じきに1枚の古びた紙を持って、おじいさんは戻ってきた。 おじいさん「それはね、いわゆる玩具のひとつでね。“リンフォン”って名前なんだよ。この説明書に詳しいことが書いてあるんだけど」 説明書には「RINFONE(リンフォン)」と書かれており、正二十面体がクマ→鷹→魚に変形する過程が描かれていた。 リンフォンは、おにぎりを握るようになでまわしたり、引っぱったりすると変形する、まるでパズルのような作りになっていたという。 あまりの不思議さに、すっかり気に入ってしまった恋人は、リンフォンを購入することにした。 投稿者が仕事を終えて、帰り道につくと恋人から電話があった。 電話を切ったあとに送られてきた写真には、クマの頭のようなものと、足が2本突き出たリンフォンが写っていた。 【火曜日】 「徹夜でリンフォンいじってたら、とうとうクマができた。見にきてよ」と、恋人からメールが届く。 恋人の家に行くと、テーブルの上には4本足で立って、首を持ち上げたようなクマの形をしたリンフォンがあった。 【水曜日】 夜の23時ごろに、恋人から写真が送られてくる。 恋人「鷹ができたよ! 本当にリアル!」 リンフォンが変形してできた鷹は、翼を大きく広げ、今にも飛び立ちそうだった。 【木曜日】 お風呂上がりに、恋人から電話がきた。 恋人「さっき電話した?」 投稿者は電話などしておらず、聞くと5分ほど前から30秒おきに着信があるのだという。 携帯電話のディスプレイに表示される名前は「彼方(かなた)」。 もちろん、投稿者の名前でもなければ、恋人は登録した覚えすらないという。 不気味に思ったが、イタズラか何かだろうということで、話はひと段落した。 その日のリンフォンは、ほぼ魚の形をしていて、背ビレや尾ヒレを付けたせば完成、というところまできていた。 【金曜日】 恋人の元に、またしても変な着信があった。 今度は非通知だったため、普通に出てみたところ、 「出して! 出して! 出して!」 と、大勢の男女が叫んでいる声が聞こえ、電話は切れたという。 その夜、恋人の家に泊まりに行った投稿者は、悪夢をみた。 暗い谷底から、大勢のハダカの男女が這いあがってくる。投稿者は、必死に崖をのぼって逃げた。 あと少しで崖の頂上だ、助かる……! と思ったそのときだった。 女に足首をつかまれ、こう言われたという。 「連れて行ってよぉ!!」 動画を見たファンからは、 「唐突にくる恐怖のオチが印象的なお話でした……」 「最近ナナフシギ中毒です、洒落怖もっとききたいです!」 「洒落怖 リンフォン 怖っ😱💥」 など、大赤見の語りに恐怖しつつも、興味津々なコメントが多く寄せられている。 サムネイル:イメージ写真 Catherine Falls Commercial / Getty Images
February 11, 2023 · 1 min · 69 words · Benjamin Jackson